戒名(法名)の構成

戒名は本来2字で、中世までは貴人といえども2字であったと言われます。
今では本来の戒名である法号の上に
道号(または宗教戒名)、さらにその上に院号がつけられ、法号の下に位号がつくという構成になっています。

○○院  △△  □□  居士(大姉)
院号   道号  法号   位  号

①院号
いんでんごう
最上級の尊称と言われるものに院号(○○院)、院殿号(○○院殿)があります。
かつては一寺を建立するほど貢献した人に与えられる尊称で、
皇室や摂関家に対して○○院が、またこれと区別するため武家に○○院殿が与えられました。
特に本家の主人のみにつけたとされます。院号より院殿号を上位とする慣習は、大名家に院殿をつけるようになった江戸期に
生まれたとされます。

②道号
道号は元々、仏道に励み、これを究めた者への出世の称号で、住職などに与えられたものと言われます。
ここの位置に宗教名が入ることがあります。

③法号
本来の戒名(法名、法号)です。

④位号
位階や性別を表すものです。成人(15歳以上)の場合、一般に信心の厚い者を信士・信女に、
より清浄な者を清信士.清信女に、仏門に入り剃髪染衣した者を禅定門・禅定尼に、
四徳を供えた篤信の信者を居士・大姉に、より上位を大居士・清大姉に、とします。
子どもの場合、死産児に水子、乳飲み子に嬰児(嬰子)・嬰女、就学前の子ども(特に2~3歳)
に核児(核子)・核女、15歳未満の子どもに童子・童女、善童子・善童女とすることが一般的なようです。
就学前の子どもは乳幼児を含め幼児・幼女とすることもあります。子どもの場合には院号・道号はつけないのが一般的です。

浄土真宗(高田派を除く)では、明治時代以降、宗門護持、念仏相続に尽力した人への賞典として広く院号が贈られています。
また、道号、位号はなく、男性の場合は「釈(釋□□」、女性の場合には「釈(釋)尼□□」とされていましたが、
近年は性差なく「釈(釋)□□」に統一される傾向にあります。「釈」とは釈尊の弟子であることを表しているとされます。
日蓮宗では、一般の場合でも院号が与えられますが、位号は信士・信女が多く、居士、大姉、大居士、清大姉は
特別に貢献度の高い人にのみ与えられます。

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